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日本人論客達のお粗末

200452

宇佐美 保

 

 430日(暦では51日)のテレビ朝日の「朝まで生テレビ」を見て、出席者の発言がお粗末なので大変落胆しました。

この様な論客達が日本を導いて行くのかと思うと背筋がぞっとしました。

但し、今回の司会の田原総一朗氏は違っていました「流石!」と感銘を受けました。

又、新右翼「一水会」代表木村三浩氏の、イラクの現状分析は見事でした。

 

 お二人以外で傾聴すべき御意見もありました。

それは、長年、戦場での取材を続けられて、ご自身カンボジアでポルポトに捕まってしまった体験をお持ちのフリージャーナリスト橋田信介氏の発言でした。

 

 先ず、当番組に同席している、今回イラクで拘束されたフリージャーナリスト安田 純平氏の行動に於いて、スンニ派の活動地域で、シーア派の通訳と運転手を伴っての取材はミスであったと指摘した上で

昨年11月に殺害された2人の外交官の行動も不注意であったと指摘しました

 

 司会の田原氏は、ビックリしたように「どんな点が?」と質問しました。

(だって、今までこんな疑問を投げつけた人が、橋田氏以外に日本に居なかったのですから!)

 

 橋田氏は答えました。

 

 だってそうでしょう。

北部の、当時最も危ないと言われていた場所に、警護車も付けず、防弾チョッキも着用せずに行った

 

 更に、橋田氏は続けました。

 

 僕は現場にいて解せないのは、今回の5人も甘い判断、外交官達も甘い判断、なのに、外交官達が英雄で彼等5人がやっつけられなくてはならないのか!

全く理解出来ないですね!

 

ご参考に、朝日新聞(2003125日)の記述を抜粋します。

 

 警視庁は5日、イラクで殺された外務省の奥克彦参事官(45)と井ノ上正盛3等書記官(30)の死因を発表した。

 奥参事官は左側頭部に受けた銃弾による頭蓋(ずがい)内の損傷、井ノ上書記官は左胸を撃たれた傷による失血死だった。今後、国際テロを扱う公安部外事3課が殺人容疑で捜査し、イラク駐留の米軍などと情報交換して事件の解明を進める。

 奥参事官の遺体を慶応大病院、井ノ上書記官を東大病院で司法解剖した。外事3課は被弾数や銃弾の種類などは、「遺族感情を考慮すると死因以外は明かせないとして公表しなかった。

 4日の検視では、奥参事官は左側頭部や左胸などに十数発、井ノ上書記官は左胸などに4〜5発被弾していたことが判明。ともに体内に銃弾がとどまっていたという。

 

 確かに、橋田氏の指摘のように、防弾チョッキを着用していたら井ノ上書記官は、殺されなかったかもしれません。

 

そしたら、この事件の犯人像がはっきりしたでしょう。

米軍の誤射かどうかも!

だって、この記事を見ただけでも可笑しいではありませんか!

ともに体内に銃弾がとどまっていた」というのに「遺族感情を考慮すると死因以外(被弾数や銃弾の種類など)は明かせないとの外事3課の見解はあまりにも可笑しいではありませんか!?

 

 何故、番組は、橋田氏の疑問を討論しなかったのでしょうか?!国の使命を帯びて亡くなった方の不注意は、恐れ多くて糾弾出来ずに、弱い立場の民間人の不注意には、糾弾の嵐でした。

 

 それにしても、何故、お二人の外交官は、警護車、防弾チョッキを利用しなかったのでしょうか!?

予算がなかった?

単なるミス?!

 私はそう思わないのです。

故奥参事官の平成151118日のホームページ(イラク便り)を次にコピーさせて頂きます。

 

 治安維持にあたっている各国の部隊では、その日の治安状況に応じてどのような装備、そんな態勢で基地の外に出ていくのかを皆に知らせなければなりません。

 オランダ軍基地の場合を例に見てみましょう。基地の出口のところに看板が立っていて、基地から出ていく兵士によく見えるように書いてあります。「脅威の程度」、「服装」、「車輌で移動する際の基準」などです。例えば、脅威が高いと判断される日は、Threat Level Highとなります。また、「服装」は、それぞれの段階で、防弾チョッキ着用が義務づけられていたりヘルメットをかぶらずともブーニーハットと呼ばれるソフト帽で足りる、等です。「車輌移動の際の基準」は護衛の車を含めて最低3台で行動しなさい、とか2台で大丈夫とかです。
 このような脅威の認定は、状況に応じて毎日変更されます。……

 

 この様に、各国の部隊が、その日の治安状況に応じて防弾チョッキヘルメット警護車の装備、態勢を徹底していることを知っていて、犠牲になられたお二人が、ミスでその活用を怠ったとは私は考えられないのです。

 

 私は、

故意に防弾チョッキ、警護車の活用を拒否されたのでは

と推測しているのです。

お二人は、米軍などと異なる接し方でイラク国民との心の交流を図りたかったのでは?と推測するのです。

お二人の、外交官として信条は、

赴任地での国民との真の心の交流こそが最も大事」

だったのではありませんか?!

 防弾チョッキ、ヘルメットで身をくるんでいては、イラクの方々と心と心の触れ合いが出来ないと。

勿論、警護車を伴って訪問しても、イラクの人との心の交流が図れないと。

 自分の身の安全ばかりを考えていたら、日々、危険に曝されているイラクの方々との心の交流が図れない!

と。

 

 この様に考える方が、当日のパネリストに居られたら、番組の展開が変わってきた筈です。

 

だってそうではありませんか!?

 

 高遠さんも、石井さんも、そして郡山さんも、亡くなられたお二人の外交官と同じ思いだった

 と、私は推測するのです。
そして、この高遠さん、石井さん達に、私は、敬意を抱き続けているのです。

 

だからこそ、

 

 全ての人は危険地域に入るリスクを理解しなければなりません。しかし、危険地域に入るリスクを誰も引き受けなくなれば、世界は前に進まなくなってしまう。彼らは自ら危険を引き受けているのです。ですから、私は日本の国民が進んで、良い目的のために身を呈したことをうれしく思います。日本人は自ら行動した国民がいることを誇りに思うべきです

 

と、パウエル国務長官が発言されているのだと存じます。

 

 ところが、別番組「たけしのTVタックル(だったと思います)」で、評論家の三宅氏は、

 

 何も、危険なイラクへ行かなくても、ボランティアなら日本でいくらでも出来る!

今、国に迷惑を掛けてまで、イラクへ行く必要はないのだ!

 

 との発言していました。

三宅氏は、なんと下卑た心の持ち主なのかと存じました。

(「人は自分の物差しでしか、他人を測れない!」の典型的な発言と思います。)

安全な日本でのボランティアを行って下さるお方は、沢山居られるでしょう。

でも、飢えに苦しむ、イラクの見捨てられた子供達は誰が面倒を見るのでしょうか!?

 

 しかし、この重大な疑問に対して、木村氏の次の発言が続きました。

 

仮に、3人が殺されていたらどうなっていたのか?

 

 これに対して、漫画家の小林 よしのり氏は、

 

 3人もいきなり殺されていればイラク復興の為に、命を擲ったのだから、この死を乗り越えて行け!と親米保守は、言っただろう……

 

 と云った具合に政府が利用するだけ旨の発言だけで、何故この橋田氏の疑問をもっと突っ込んで議論しなかったのでしょうか?!

それどころか、橋田氏の疑問を無視して、田原氏は、3人の人質事件の自作自演説へと議題を振ってしまいました。

 

 テレビ朝日コメンテーターの川村晃司氏は、

 

3人は強制的にドバイへに連れて行かれ、ドバイで、警察と公安との取り調べを受けた

この取り調べが、自分達(3人)が自作自演であるとの前提での取り調べを受けたとの印象を抱いたと郡山さんは記者会見で述べていた。

郡山さんが証言すると、“え!そうだったの?こうだったのではないの!”と云った具合に、自分達への(自作自演)イメージを持っていたようだ。

 

 更に、川村氏は、この郡山氏に対して

 

 取り調べした人物の名刺を貰っておきながら、その名刺を無くしたりするのは、プロとして如何なものか?!

 

 と苦言を呈しておられました。

でも、やっと人質から解放された後、それも自作自演の嫌疑を掛けられた人が通常のジャーナリストとしての振る舞いが出来たでしょうか?

川村氏は“私は今度こそ死ぬかもしれない、死ぬかもしれないと云う体験をしてきた”とも発言してはいましたが、川村氏ご自身が、そんなに、ミスの無い優れたジャーナリストなのでしょうか?

 

田原氏の、次なる問いかけ

 

 大手マスコミは、危なくなると自社の社員を引き上げてしまい、後に残ったフリーのジャーナリストの記事、報道で、紙面放送を作り上げているのは如何なものか?

 

に対して、川村氏は、

国内に他の仕事があるから……

等と、とんちんかんな答弁をしていました。

 

 そして、田原氏が、小泉首相、福田官房長官、更に、冬柴公明党幹事長の

 

「損害賠償請求をするかどうかは別として、政府は事件への対応にかかった費用を国民に明らかにすべきだ

 

との飛んでもない発言を非難したのを受けて、評論家の宮崎哲弥氏は、
 

宗教団体をバックとする政党の幹事長の発言が、真っ先に金のことを口にするとは何事か!?


と非難しましたが。

公明党・参議院議員の遠山清彦氏は、

党の見解ではない。

と逃げてしまいます。

何故宮崎氏は逃がしてしまうのですか?

党の見解であろうが無かろうが、こんな発言をする人物が幹事長に収まっていること自体が大問題ではありませんか!?

 

その後は、パネリスト達は、自分達の自慢話と今回の5人の方々へミスを述べ立てていました。

 

 先ず、自民党・参議院議員の武見敬三氏は、次のような自慢話を披露しました。

 

 キルギスでジャイカの4人の鉱山技師が人質になったとき外務政務次官やって、タジキスタンの首都のドゥシャンベ救出工作の責任者をやった、ここで自分が殺されて、おかしくないなと思う経験を幾つもした

 

 これと同じ発言を武見氏は、三宅氏と同席した前掲の番組でも行っていました。

でも幸いなことに(武見氏には不幸なことに)、今回は、橋田氏が、この番組には同席していたのです。

 

 橋田氏の談

 

私は、当時、誘拐された現場にいました。
武見さんの居られた対策本部の
ドゥシャンベは現場から23000kmも離れたところです

今回もバクダットで事件が起こって、800km位も遠方のヨルダンのアンマンに現地対策本部を設定しましたが、何故、現場のバクダットに設置しないのですか?!

 

と、武見氏に逆襲していました。

橋田氏が居られなかったら、私は、武見氏は随分勇気のある方だったのだ!と感心したままで居るところでした。

 

 同志社大学助教授の村田 晃嗣氏は、先ず、 

外交官お二人は、公務であった。

 と発言しました。公務と、民間の働きを区別すること自体が可笑しくはありませんか?!

パウエル発言は、公務と民間の働きに差別を付けていますか!?

公と民が働いてこそ世界の平和が保たれるのではありませんか?!

そして、民間と云っても、組織化された民間も、全くの個人的な方々と色々な活動が絡み合ってこそ、大きな成果が出るのだと思います。

 

更に、村田氏は発言しました、

 

 ジャーナリストがプロとして行くなら何故女性や子供と一緒に出かける、捕まったとき自分がジャーナリストだから他の者までスパイと疑われると考えるのがプロである。

 

こんな発言は、お粗末な結果論です。

(差別発言でもあります。女性も男性も同等です。)

又、別の見方も出来ます。

「何としてもイラクへ行きたいと思っている、女性と若者が居たら、出来ることなら自分が連れて行って上げたい思う」と。

(それに、何故、ジャーナリストがスパイと疑われるのか?)

 

 これに対して、漫画家の小林 よしのり氏は、

 

 議論の質が違っている。

今、行われている、バッシングは、自衛隊の撤退か残留かでマスコミが分かれた。……

この狭間で、人質は犠牲になった。

そして、ジャーナリストはどうあるべきかの冷静な議論が国民の間でなされていない。

 

 そして、コラムニストの勝谷誠彦氏も、しきりに被害者の方々の不注意を責めていました。

ところが、ご自身は、次の失態を告白しています。

 

アンマンのシェラトンホテルに滞在して、350ドルも払って絶対大丈夫と思えるタクシーに乗って、前の日に先乗りした現地(バクダット)の橋田さんから“かってない程安全です、安心してきて下さい”とのメールが来ていたので出発した。

それでも、運転手がぐるだったかもしれないが、ファルージャ手前でホールドアップされて、金とカメラを全部とられてしまった、危機管理が甘かった。

 

と、こんな失態をしでかしていながら何故他人のミスを非難するのでしょうか?!

 

勝谷氏は、被害者の方々を、

 

家庭のしつけ人間の問題だ!(未成年者が、危険地帯に出掛けたり、送ったり)


とも非難しましたが、私は、この言葉をそのまま勝谷氏にぶっつけてやりたいと思いました。

(他にも、勝谷氏の人格を疑いたくなる発言を氏は、吐き出していました。)

 

現に、田原氏も、勝谷氏に対して、

 

親の言うこと聞かないのはいけないなんて言うのは、おかしい!

あんただって、親のいうことを聞いたことはないだろう。

18歳に権利はない!なんて言うのもおかしい!

未成年だからと云って、いちいち親の言うことを聞いている奴こそ、碌でなしだ!

 

とぶっつけました。本当にそうだと思います。
私は、こんなお粗末な勝谷氏のコラムなど読むまいと思いました。

 

漫画家の小林 よしのり氏の

“別の番組で見たが、橋田さんの奥さんへの電話の話は心にのこる”

を受けて、勝谷氏は、

“私も感銘を受けて、メモしてあります”

とそのメモを読み上げていました。

 

“俺が捕まっても国に救助を頼むな”との橋田氏の言葉を受けて、“何年夫婦をやってるの!そんなこと判っているわよ”との奥様の返事。

 

 この橋田氏ご夫婦の会話は、あくまでも、今回のバッシング事件後の会話なのです。

その上、失礼ながら橋田氏はそれなりの人生を既に歩んでこられたお方です。

 

 更に、漫画家の小林 よしのり氏は、

 

 “家族にあんな醜態を曝させるような、そういう状態にするなよ”と云うぐらいは言っても良いと思う。

 

 又、拓殖大学教授森本敏氏は、

 

 家族の対応が悪かった、人間は自分の思っていることを言うと逆に作用する「総理に会いたい」と言えば、逆に会えなくなる。……

 

と語っていました。

この様なお二人の発言には、私は大反対です。

 

 自分の子供の命を助ける為には、親はどんなことでもしたい!と思うのは人間の根本的な情ではありませんか!?

それを「醜態」と決めつける人の人間性を私は疑います。

私は、仏教国ではなかったのですか?!

 

 私は、ブッダの次のお言葉が大好きです。

 

 恰も、母が己が独り子を命を懸けても護るように、そのように一切の生きとし生けるものどもに対しても、無量の慈しみの心を起こすべし

 

 人間の根本だと思います。

でも、近頃は、この心が失われてしまったようです。

(悲しいことに、日本人は、今、動物たちに学ばなければなりません!)

 若し、小林氏に、このブッダの心があったら、人質のご家族の行為を「醜態」と決め付けられない筈です。

 ましてや、森本発言は恥ずかしい話です。
更には、創価学会を母体とする公明党の冬柴氏の発言も、赤面の至りではないのでしょうか?

小泉首相の心の中に、ブッダのお言葉があったならば、人質被害者の悲痛な声が上がる前に、小泉首相自身が被害者のご家族に面会し、慰め、政府の方針(自衛隊のイラク撤退が出来ない理由)を懇切丁寧に説明するのが、人の道ではありませんか!?

(北朝鮮の拉致問題に於いても然りです。小泉氏はこの心が無いから“曾我さん達のお気持ち”を汲み取ることが出来ないのだろうと存じます。)

 

 (でも、残念ながら、小泉氏は、「自衛隊のイラク撤退が出来ない理由」をご家族の納得出来るようには説明出来ないでしょう。

なにしろ、「人道復興支援」と云いつつも、その本質は「アメリカのご機嫌取り(怪しげな国益)」なのですから)

 

私は、次の田原氏発言に同感し、流石、田原さんと思いました。

 

 皆さんの意見に大反対、僕はテレビのディレクターやっていて2度ミスをして警察に捕まっている、当然取材にはミスがある、今度もミスです、ミスをやっちゃいけないと言ったら取材なんか出来ない。

ベトナム戦争でプロのカメラマンが死んでいる

 

そして、橋田氏は、

 

 特に戦場では何が起こるか判らない。

 

と発言しました。

 

 田原氏の発言が全てだと思います。

今回の、パネリスト達は、自分のミスを棚上げにして、人質の方々のミスばかりを責めていました。

恥ずかしくないのでしょうか?!
他人のミスを列挙することで自分の優秀さが視聴者に認識されると錯覚しているのでしょうか?!

全く日本社会の汚点を明確に示しています。

この点に関して拙文《トルシエ監督ありがとう》で、プロ野球の前阪神監督の野村氏について記述の一部を抜粋します。

 

野村氏は「選手に長所を褒めるのは照れ臭くもあり、又、長所と認識するのも難しいので、それよりも欠点のほうが容易に、又、誰の目にも共通として認めることが出来るので、欠点ばかりを選手に告げていた」旨をテレビで語っていました。

この結果、選手達は進歩するどころか、萎縮してしまったのです。

 

 人、又、国だって、「長所」を指摘することこそが進歩の原動力になるのです。

何故、パネリスト達は、自分達に無い長所を、人質被害者の中に見付けることが出来ないのでしょうか!?

私は、これら惨めな方々に失望して、パウエル国務長官の談話に一層の感銘を受けるのです。

ですから、最後に、パウエル発言を、再度掲げます。

 

 全ての人は危険地域に入るリスクを理解しなければなりません。しかし、危険地域に入るリスクを誰も引き受けなくなれば、世界は前に進まなくなってしまう。彼らは自ら危険を引き受けているのです。ですから、私は日本の国民が進んで、良い目的のために身を呈したことをうれしく思います。日本人は自ら行動した国民がいることを誇りに思うべきです

 

 

(補足:1

 武見氏、勝谷氏、更には川村氏まで、イラク等で、我が身を危険に曝したことを自慢げに話していましたが、兵士達は、もっと悲惨な境遇に追いやられます。

そして、もっと悲しいことは、(イラン人で、東京工業大大学院生のアレズ・ファクレジャハニさんが、番組中、怒りの声を上げていましたが)

 イラクでは、何のミスもない市民達が、1万人以上も、人口10万人のファルージャだけでも、500人以上が亡くなっているのです。

 

 更に、ファルージャの人口全部に匹敵する10万人の方々が、先の戦争の東京大空襲で亡くなっているのです。

原爆では、広島でその年の終わりまでに14万人、長崎では7万人の方々が、何のミスもなく亡くなっているのです。

 

 なのに、「大量破壊兵器の発見、破壊」、「イラクの民主化」等の隠れ蓑の下、石油利権(国益)ばかりで、今後のイラクの今後を議論していて良いのでしょうか?!

「勝手に他人のパイを横取りする相談をしている」

とのアレズ・ファクレジャハニさんの抗議に、耳を傾けるべきと存じます。

 

 

(補足:2

 番組の終わりに視聴者からのアンケート結果が、次のように示されました。

 

日本政府の言う“自己責任”は是か非か?
有効回答数
493
肯定する
危険な場所へ行ったから 89件
状況の認識に甘さがあった 32件
結果的に迷惑を掛けた 26件
家族の対応に問題がある 24件
ジャーナリストに危険はつきもの 10件
否定する
そもそも責任は政府にある 64件
国民の命を守るのは政府の責任 43件
彼等の行動は正しい 30件
どちらでもない
日本社会全体の責任 16


日本は今後イラクに何をすべきか?
自衛隊の活動を続けるべき 83件
自衛隊の撤退 43


 この結果を見て、拓殖大学教授森本敏氏は、

 

日本人の感覚はバランスがとれている

 

 と発言しました。

全く呆れた教授様です。

 

 拙文《バカの壁と世論》の一部を引用します。

 

売れに売れた、大ベストセラー養老孟司著『バカの壁』には次の記述があります。

 

しみじみ思うのですが、学者はどうしても、人間がどこまで物を理解できるかということを追究していく。言ってみれば、人間はどこまで利口かということを追いかける作業を仕事としている。逆に、政治家は、人間はどこまでバカかというのを読み切らないといけない

 しかし、大体、相手を利口だと思って説教しても駄目なのです。どのぐらいバカかということが、はっきり見えていないと説教、説得は出来ない。相手を動かせない。従って、多分、政治家は務まらない。……

 

 この事実を踏まえて、「日本人の感覚はバランスがとれている」と発言するのは、大学教授としては、無責任と存じます。

 

 

(補足:3)

 

 ミスと云えば、小泉氏こそが最大のミスを犯したのだと存じます。

なにしろ、長年にわたって築き上げてきた、日本とアラブとの友好関係を、ブッシュのポチとなることで、崩してしまったのですから。

そして、「平和日本」との財産を捨ててしまったのですから。

アメリカのイラク侵攻に“NO!”の声を上げていたら、今こそ「平和日本」との立場から、真の人道復興支援を混乱に陥ってしまったイラクに、展開出来たのではないでしょうか?!



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